数字を診る
事業者の方から相談を受ける中で最も多いのが、「売上は伸びているはずなのに利益が残らない」というお悩みです。
多くの場合、経営者はP/L(損益計算書)の「一番上(売上)」と「一番下(利益)」だけを見て一喜一憂しています。
しかし、事業の健康状態は、その"間"にある数字にこそ表れます。
医師が患者を診るときに、まず血圧・脈拍・体温を測るように、事業にも「診る」ためのシンプルな指標があります。
見るべき3つの数字
1. 粗利率(あらりりつ)
売上から仕入原価や外注費を引いた「粗利」が、売上に対して何%あるか。
粗利率 =(売上 − 売上原価)÷ 売上 × 100
この数字は、あなたの事業が「どれだけ価値を生んでいるか」を示す最も重要な指標です。
同じ売上100万円でも、粗利率30%の事業と粗利率60%の事業では、手元に残るお金がまったく違います。
2. 労働生産性(一人当たり粗利)
粗利を、その事業に関わる人数(社員数)で割った数字。
労働生産性 = 粗利 ÷ 従業員数
「人数を増やせば売上は上がる」
これは事実ですが、粗利が伴っていなければ、増えたのは仕事量とストレスだけ、ということも珍しくありません。
一人あたりが生む粗利を可視化することで、「今の体制で本当に稼げているのか」がわかります。
3. 固定費比率
売上に占める固定費(家賃・人件費・リース料など、売上に関わらず発生する費用)の割合。
固定費比率 = 固定費 ÷ 売上 × 100
この数字が高い事業は、売上が少し落ちるだけで一気に赤字転落するリスクを抱えています。
逆に低ければ、多少の売上変動にも耐えられる"筋肉質な"事業構造といえます。
数字を出して、何が見えるか
たとえば、ある内装工事業の事業者様の相談を受けたケース。
・売上: 1.2億円(前年比 +15%)
・粗利率: 22%(前年 28%)
・労働生産性: 前年比 −20%
・固定費比率: 45%(業界平均 30〜35%)
売上は好調に見えますが、粗利率が急落、固定費も膨らんでいる状態でした。
ヒアリングの結果、「安い案件でも受けて売上を作ろう」とした結果、粗利率の低い仕事が全体を圧迫していたのです。
数字が出ればこそ、「何を変えれば良いか」も見えてきます。
このケースでは、案件の受注基準(粗利率20%以下は原則見送り)を設けたところ、半年で粗利率28%まで回復、営業利益は倍増しました。
診断から改善へ
「事業を診る」とは、感覚ではなく数字に基づいて事業の状態を客観視することです。
・まず数字を出す(月次で把握する仕組みを作る)
・業界平均や過去比較で「今どうか」を知る
・改善の優先順位を決める
・実行して、また数字で確認する
このシンプルなサイクルを回せるかどうかが、事業の成長と安定を大きく左右します。
弊所では、事業者・職人の皆様を対象に「無料利益診断」を実施しております。
上記のような数字を一緒に整理し、改善の優先順位を明確化するお手伝いをさせていただきます。
「なんとなく気になっている」段階でお気軽にご相談ください。


